絶滅危惧種ヘサキリクガメを公開、違法採取撲滅呼び掛け/横浜

 世界で最も希少な絶滅危惧(きぐ)種に指定されている「ヘサキリクガメ」二頭が、十一日から横浜市西区老松町の野毛山動物園で公開されている。昨年末に茨城県で保護されたのを引き取ったもの。希少種を巡っては密輸などの犯罪が絶えず、同園は公開することで違法採取撲滅を呼び掛けたいとしている。
 カメは首の下の甲板が船のへさきのように長く伸びているのが特徴で、保護された二頭は体長約三十五センチ、体重約五キロ。野生ではアフリカのマダガスカル島に約四百頭が生息するのみで、密猟されて数十万〜数百万円で取引されることもある。今回の二頭は、昨年末に水戸市内でペット業者が摘発された際に保護されたという。
 同園によると、ヘサキリクガメは一九七〇年代に森林伐採の影響などで激減。自然保護団体などが十年以上かけて同島で百六十二頭の繁殖に成功したものの、九六年にそのうち七十六頭が盗まれたという。
 同園飼育員の桐生大輔さん(38)は「今回の二頭も、九六年に盗まれたカメが流れてきたのだろう。保護動物を現地に戻す方法がない。環境保全について考えてくれたら」と話している。

2008/03/13 神奈川新聞カナロコ

希少カメの密漁の深刻さをあらためて感じさせるニュース。大量の密輸カメが摘発されるニュースはあとを絶ちませんが、今回のニュースはそんなカメの行く末です。
改めて考えると、ペットとして飼うことを目的に密漁・密輸されるという動物というのは、実は少ないのではないでしょうか。多くは毛皮や牙、標本などのほか、食用(カメでもありましたが)などでしょう。むろん目的はなんであれ密漁は許し難い行為ですが、「殺す」ことが目的でないところに、改めてカメという動物の不思議さを感じました。

ところで、保護したカメを現地に戻すことができないんですか。何らかの取り決めが足かせになっているのでしょうが、それはなんなのでしょう。むう